先日、一般社団法人日本口腔衛生学会から「乳幼児期における親との食器共有について」という声明が新たに発表されました。
これにより「親と子供が食器を共有しないことが虫歯の予防になる」という常識が覆され、「食器共有によって子供が将来虫歯になるかどうかは関連していない」ことが分かりました。
今回の声明には必ず目を通して常識をアップデートしましょう。
乳幼児期における親との食器共有 本文と要約
こちらが声明の全文です。

引用元:一般社団法人日本口腔衛生学会
ものすごく嚙み砕いて要約すると、
- 親と食器を分けることは子供の虫歯予防にならない
- 親の唾液に接触するとアレルギー予防になる可能性がある
- 結局虫歯の予防には、砂糖の摂取を控えること、親が仕上げ磨きを徹底すること、フッ化物を利用することが大事
ということです。端的にしすぎているので少し補足していきます。
親と食器を分けることは子供の虫歯予防にならない
赤ちゃんは親の唾液に接することで、親の持っている虫歯の原因菌(ミュータンスレンサ球菌)に感染することが分かっています。
そのため、今までは親と子供の食器の共有はNGというのが常識でした。
しかし最近の研究では、生後4か月には既に親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されています。そして、3歳児時点で親との食器共有と、う蝕(歯が溶ける状態)の関連性は認められなかったということです。

離乳食開始前に既に親の口腔細菌は子供にうつっているそうです……。食器を分けても時すでに遅し。子供の虫歯の予防にはならないらしいということですね。
親の唾液に接触するとアレルギー予防になる可能性がある
スウェーデンの研究機関が発表した「親から子への口腔内細菌の移行が乳児の免疫系を刺激し、乳幼児期の効果的なアレルギー予防に繋がる」という研究を元に、日本でも調査がなされたものです。
結果としては、親の唾液との接触により湿疹(アトピー性皮膚炎)とアレルギー性鼻炎の発症リスクが低下した可能性があり、喘息の耐性にも影響している可能性があるということでした。

親の唾液に接することで大事な免疫が育っていたんですね。これは知りませんでした。
結局、子供の虫歯の予防に大事なことは?
子供の虫歯の予防について、声明の中で述べられているのは以下の3点です。
- 砂糖の摂取を控えること
- 親が毎日仕上げ磨きを行って歯垢を除去すること
- フッ化物を利用すること
唾液との接触を過度に避けないこと以外は今までと一緒ですね。
特にフッ化物の利用はう蝕への効果が高いそうなので、歯医者で指導を受けるなどして積極的に取り入れましょう。
また、声明の中にはありませんが、虫歯はうつるので親に虫歯がある場合は早期に治療するよう心がけましょう。
食器の共有はどうする?我が家の方針
今回の結果を踏まえて我が家では、
- 食器は今まで通り別にする
- スキンシップでの唾液の飛散には過度に注意しない
ことにしました。
食器は今まで徹底して別にしていたので共有することには抵抗を感じてしまい……。万が一自分に虫歯がある場合は新たにうつすことにもなりかねませんし。汗
しかし唾液の接触がアレルギー予防になるというメリットもありますし、これまでほど厳格に分けず気楽に構えようと思いました。
まとめ
赤ちゃんは生後4か月の時点で既に親の口腔細菌に感染しており、食器を別にするなどの対策は虫歯対策としてあまり意味が無いことが分かりました。
それどころか、親の唾液との接触がアレルギー予防に効果があるという研究結果まで出ているので、これらを踏まえてどうするべきか、各家庭で方針を定めましょう。
コメント